「和裁を学びたい」と考えたとき、その選択肢はどのようなものが考えられるでしょうか。たとえば、大学、短大、専門学校で専門的に学ぶのがよいと思います。ただし、趣味程度ならば和裁教室やカルチャースクールで十分でしょう。このうち、職業訓練施設という選択肢を選んだ場合、どのような経験が得られるかをご紹介します。
和裁を学ぶことはどのような意味があるのでしょうか。その目的や勉強方法についてお伝えします。
着物は1300年もの歴史を誇る日本古来の民族衣装です。一枚の反物を裁断して、すべてを手縫いで仕立てあげていきます。これだけ技術が進歩した現代においても機械化することが難しい、大変繊細な技術です。
和裁を学びたいという動機は人それぞれです。「趣味としてたしなみたい」「自分の着物が仕立てられれば満足」といったレベルから、「手に職をつけて、和裁のプロとして生計を立てたい」と本格志向の人もいるでしょう。さまざまなケースが考えられますが、和裁は独学で習得することは難しいため、どこかに通うことが近道です。
和裁を学ぶ目的は「本格的に学ぶ」または「趣味として学ぶ」の2つに大別されます。もし、本格的に学びたいならば、大学、短大、専門学校、職業訓練施設がおすすめです。趣味として楽しむならば和裁教室、カルチャースクールで良いでしょう。
どこで学んだとしても、和裁の基本は変わりません。基本的な知識にも技術にも大差ないでしょう。ただし、どこまでのレベルを習得できるかの差はあります。もし和裁の仕事に就きたいならば、本格的に学べる環境を選ぶべきでしょう。就職先の斡旋をしてくれるのかといった点にも注意すべきです。
もし専門的に和裁を学ぶならどのような方法がよいでしょうか。ここでは、おすすめの手段をご紹介します。
和裁というのは大変特殊な技術なので、専門的に学びたいとなったら大学・短大、専門学校、職業訓練施設、和裁所などに数年間通う必要があります。仕立て方法だけではなく、着付け、華道・茶道などの伝統文化に対する知識を深めることもできるでしょう。
着物は結婚披露宴や成人式など、晴れやかな日に欠かせません。また、趣味や仕事着として日常的に着られる方もいます。大切な日を心置きなく過ごすことができるよう、美しいだけではなく、着やすい着物を目標にしなければいけません。それには奥深い知識はもちろんのこと、着る人に喜んで貰える確かな和裁技術が何よりも重要です。仕事として仕立てるのであれば、スピードも大事です。
和裁を本格的に学べる学校はさまざまな特徴があります。それぞれの違いについてお伝えしましょう。
・大学・短大
大学・短大の服飾関係コースならば、着物の基本的な知識を学ぶことができます。カリキュラムが豊富で、染色、刺繍、着付け、茶道、華道など幅広い知識を取得することができるでしょう。その反面、専門分野と異なる科目も受講が必要なため、和裁を集中して学ぶことが難しく、卒業後にプロとして独立できることは稀です。他の教育機関よりも入学金や学費がかかることもデメリットといえます。
・学校法人の専門学校
和裁の専門学校は、学校法人運営と企業が運営母体の2種類があります。学校法人の場合は和裁だけではなく、大学や短大以上にさまざまな知識やスキルを身につける機会が多いことが特徴といえるでしょう。和裁以外の技能も取得できるので、就職の際の選択肢を広げることができます。
・企業が運営母体の専門学校
企業が運営母体の専門学校は産学共同システムによって、実際の商品が教材として提供されます。報酬をもらいながら技術を身につけることができるのは大きな魅力です。卒業と同時に母体の和裁所などに就職できるケースが主流になっています。
・職業訓練施設
職業訓練施設とは、職業能力開発促進法に基づいて、定められたカリキュラムに沿って和裁を学ぶことができる施設です。実務に使える科目が多く、集中して和裁技術を習得できます。訓練期間は1~2年と、大学・短大・専門学校と比較すると半分以下しかありませんが、卒業後は関連会社で和裁の職に就けるのはメリットです。ただし、現在、和裁に関する職業訓練施設は全国的に少なく縮小傾向にあります。
・和裁所
和裁所とは、呉服店や百貨店と経営を結んでいる仕立て屋のことです。教材が商品となり、学びながら報酬を受け取ることができるようになっています。4~5年の修学期間を設けているところがほとんどで、学校と比較すると学費はリーズナブルです。
和裁を学ぶ選択肢は本格的な道とは限りません。趣味で学ぶ選択肢もあります。
近年、趣味としての和裁が注目されています。和裁技術を持っている人は多くはないため、少しでも身につけておけば注目されること間違いなしです。
趣味レベルでも和裁の知識と技術を習得しておけば、役立つ機会は多いです。オリジナルな着物を自分でデザインするという楽しみ方もできるでしょう。バザーの品物などとしても喜ばれるかもしれません。
趣味の和裁を学ぶ選択肢は和裁教室やカルチャースクールがあります。どのような場所があるのでしょうか。
・和裁教室
和裁教室は、個人経営で少人数に趣味程度に教えているケースが大半です。費用をかけず、じっくりと自分のペースで製作したい人に向いています。専門学校が趣味として習いたい地域の方向けに開講している場合もあります。
・カルチャースクール
専門学校や和裁教室の講師が講座を持ち、ほぼ同じような内容を学ぶことができます。和裁教室よりもより趣味性が強く、和裁とはどんなものか体験してみたいという人にもよいでしょう。費用もリーズナブルで、働く人でも通いやすい日程に設定されていることがほとんどです。
和裁を学ぶ場所はさまざまなものがあります。なかでも専門学校で学ぶことは数多くのメリットがあるといえるでしょう。
職業訓練施設や和裁所に比較すると、専門学校は学費がかかるかもしれません。しかし、その反面、扱う教材が商品のみということもなく、和裁の知識を総合的に学ぶことができるのは大きなメリットです。和裁の歴史など、学術的な知識を深めたい人にもおすすめといえます。
専門学校で取得できる資格は和裁関連にとどまりません。華道、茶道などの着物文化に関連の深い資格から、なかにはPCに関する資格を取得できる専門学校もあります。
職業訓練施設や和裁所は、そのまま関連の仕立て屋に就職することができるかもしれません。しかし、専門学校ならば「和裁の知識やスキルをアピールして他業種に就職したい」という希望を叶えることもできます。なぜなら、和裁に限らずさまざまなことを学ぶカリキュラムだからです。たとえば、一般的なアパレル企業に就職する際、和裁の資格を持っているということを個性として際立たせることもできます。就職時の選択肢は幅広くしておきたいと考えている人にもおすすめです。
和裁はさまざまなところで学ぶことができます。本格的な技術を習得したいのか、趣味としてたしなむ程度でかまわないのか、目的を明確にすることからスタートしましょう。特に、専門学校を選ぶと就職時の選択肢が増えるなど、大きなメリットがあります。和裁にとどまらず日本の伝統文化について深く幅広く学びたいと考えている人にもおすすめです。和裁をどこで学ぶべきか迷ったときには、ぜひ専門学校を検討してみてはいかがでしょうか。